ばなでぃーる昔話しりーず その4 「シンデレラ」 あるところに静歌という娘が、意地悪な継母と義姉たちに囲まれて、大変苦労しながら暮らしておりました。 今日も継母たちは、着るものも食べるものも満足に与えずに静歌を一人残して、自分たちだけ着飾りお城の舞踏会へと出かけて行きました。 「静歌、私たちが帰ってくるまでに掃除を終わらせておくんだよ」 「あと、洗濯と風呂の用意と薪割りと、えーっと、とにかくやっておきなさいよね」 「ああ、今ごろお城では素敵な舞踏会が……」 静歌が涙ながらに仕事をしていると、そこに突然どこからともなく魔法使いが現れました。 「むむむ。まーはおばあさんじゃないですよ?」 魔法使いがおばあさんだとは言ってません。 「おー」 何事かと呆気にとられている静歌に、魔法使いはそっと一言、こう言いました。 「せんめつ?」 「いけー、かーくん♪」 ちゅどーん。 「いんふれあですー」 どっかーーん。 こうして静歌は、意地悪な継母たちとともに城の王族をも壊滅させ、この国の実権を握ったのでした。 めでたしめでたし。 −完− _____________________________ 特別企画・あねさん引退によせて あねさんが引退してしまいました。 ついにと言うか、やっとと言うか。 確かに寂しくはあるのだけど、悲しむ必要もないのかなぁ。 私があねさんと出会ってから、もう少しで丸3年になります(……多分)。 3年というのは中学生が入学から卒業できちゃう時間です。それだけの時間が経てば、私たちもずっと同じ環境でいられるわけもなく。 あねさんの選択は正しいと思います。 そして私たちはその道を選択したあねさんを受け入れることしかできません。 ほんとはね、あねさんに言いたいことはもうほとんど本人に言ってしまってるので、改めて言葉にすることもないのだけど。 これだけ長い付き合いになれば、当然思い出だってたくさんあるわけです。 変なところで方向音痴だったり、釣りをしては寝落ちしてたり。……とても可愛い人でしたよ?(笑) 穏やかな人で、まーさんと共にうちのほのぼの感を出すのに一役買っていたと思います。 だーつさんが引退する時は、あねさんと一緒に見送りました。 今回、奇しくもそのあねさんを見送ることになったけど、その場にいられて良かった。何もなくてもいいの。あの時間を共有できたことが嬉しいの。 急なことだったしお別れ会に参加できなかった人もいたけど、あねさんはみんなに感謝していました(あ。そういえばあの時あじぇさんはほんとにおでこに「肉」と書かれたのかしら)。 残す方も残される方も、きっとどっちもつらいのには変わらないんだよね。 私ね、友達は多くないけれど、その分(?)人との出会いには恵まれてるんだと思う。 あねさんに会えて良かった。 心からそう言える。 そりゃね、寂しいよ。寂しいに決まってるじゃない。 だけど、別れる時に泣けちゃうくらいの出会いを、私たちはしたんだ。それはきっと素敵なこと。 らみゅさんはもうしばらくヴァナ・ディールでの旅を続けます。 いつかまた、あねさんと出会う日が来るかもしれないし来ないかもしれません。 でもね。 もし出会えたなら、それがここではないどこかであっても。 私はきっとこう言うよ。 「あねさん大好き」 2006.6.7 _____________________________ 新年の抱負 らみゅさんの場合 「えっとねー。絹より木綿の方が好きー」 豆腐。 「あう。なんかねえ、あまり特別なことはいらないかなぁ。何をしたいとかこれをしたいとかは、もちろんあるんだけど。でもそんなのより、みんなといられることの方がらみゅさんには大事なことなので。だから、みんながしあわせでいられますよーに」 うんうん。 「その中でもらみゅさんが一番しあわせでありますよーに(笑)」 台無し。 「あう」 2006.1.4 _____________________________ 昔話しりーず その3 むかしむかし。 おじいさんは山で、 おばあさんは川で死んでしまいました。 あうー。 −完− _____________________________ 「コロロカ温泉殺人事件」(いきなり)最終回 『誰が為に鐘は鳴る』 どかーん。 核戦争で皆死んでしまいましたとさ。 −完− _____________________________ ばなでぃーる昔話しりーず その2 「浦島太郎」 「亀乱獲ー」 「らじゃですー」 浦島太郎・完 _____________________________ ばなでぃーる昔話しりーず 「桃太郎」 まーさんがシュヴァル川で釣りをしていると、川上から大きな桃が流れてきました。 でもまーさんは釣りで忙しいのです。 「あうー。ももがいっちゃったですー」 桃太郎・完 _____________________________ 序章 「あうー。おくれちゃったですー」 とてとてーと駆け足で急ぐタルタル。 彼女の名はマラクジャ。通称まーさん。 今日は所属しているLS、Tiraliumのメンバーが集まる日なのだが、約束の時間に少し遅れてしまった。 もうみんな集まっているだろうか。遅れたことをことさら責める仲間たちではないが、それでも必要以上に待たせるのはあまり気分のいいものではない。 「おまたせですー。ごめんですー」 幾度か軽く道に迷いながらも目的の場所に辿り着いたが、やはり自分が最後らしいことを確認すると開口一番に謝りの言葉を告げる。 だがそんな彼女を迎え入れてくれたのは、なんとも言えぬ違和感だった。 「あう。どうしたですか?」 怒らせてしまったのだろうか。そんな不安を抱きながら恐るおそる尋ねてみる。 「それがね……」 返ってきた言葉は自分を責める言葉ではなかったものの、彼女を別の不安で包み込んだ。 目の前にいる仲間たち。そこにいるのはいつもと変わらぬメンバーだ。 ただ一つ違っていたのは、メンバーの一人ラミューが冷たいはずの地面に倒れていたこと。 「あう?」 自分をからかっているのだろうか。 それが正解でないことは他のメンバーの表情や仕草が教えてくれた。 どれくらいの間こうしていたのだろう。ラミューの体からはもはや温もりを感じることができなかった。 何故? ラミューが自分からその命を絶つはずがない。だって約束したのだから。昨日ラミューは確かにそう言ったのだ。 また明日ね、と。 静寂に支配される時間に耐え切れなくなったのか、誰かがそっと呟いた。 「これって、殺人事件……?」 続く _____________________________ 解決編 一見したところラミューに大きな外傷はない。 「じゃあどうやって殺されたんだろう……?」 メンバーが状況を整理していると、その重く暗い雰囲気を打破するかのように凛とした声が響き渡った。 「ちょっとまったですー」 声の持ち主はマラクジャだった。みんなの期待と不安を乗せた視線が集まる。 「まーさん、何かわかったの?」 「はいですー」 「ほんとにっ?」 「じっちゃんのなにかけてー」 誰だそれは。 「えっとー、それじゃずばばさまのなにかけてー」 念の為断っておくが、まーさんとズババ様が肉親関係だという事実はない。 「それで? まーさんの見解を聞かせてちょうだい」 静歌が先を促す。 「そうでしたー。えっとー、まーのみたところー」 ほんの一瞬、辺りを沈黙が包む。彼女の言葉を聞き逃さぬかのように、それまで吹いていた風もぴたりと止んだ。 マラクジャが続ける。 「らみゅさんはー、ひとじゃなくてねこなのでー」 え? 「これはさつじんじけんじゃなくてー、さつねこじけんなのですー」 再び訪れる沈黙。やや間を置いてから、今度は静歌が手を打つ音によってそれは破られた。 「確かにその通りだわ」 その場にいたマラクジャとラミューを除いた全てのメンバーから感嘆のため息が漏れる。 「さすがまーさんだ」 「そこは盲点だったよね」 えええっ!? 賞賛の拍手と歓声がマラクジャに惜しみなく浴びせられる。 「えへへですー」 「謎も解けたことだし、みんなでぱーっとやりに行こうか」 ちょっとっ。何それっ? 解けてないっ。謎はそんなことじゃないでしょーがっ。 もはやみんなの関心はそこにはなかった。何事もなかったかのように平穏が訪れる。 「でもー、なにかわすれてるようなー」 ふと思い立った心配事もきっと些細なこと。それより今はみんなといる時間を楽しもう。 マラクジャはレストランへと向かうみんなの背中をとてとてーと追いかけた。 そのあと。 ホームポイントから泣きながら歩いていくラミューの姿が見られたという。そしてラミューはその日の出来事については何も語ろうとしなくなった。 えぐえぐ。 名探偵まーさん・完 |